健康な髪は、体の中から作られます。栄養のある食事と、吸収率の高い健康な腸、そしてバランスの整った血液によって作られます。
この時の血流(血のめぐり)は、滞りなくスムーズに流れていて、毛細血管は毛根にしっかりつながっている状態である事が大切です。また、頭皮の状態は適切な頭皮ケアによって、青白く透明感があり潤いがあって瑞々しい状態が理想です。
あまり意識される事の無かった髪と血液、腸と頭皮ケアの深い関係について詳しくお伝えしていきます。
東洋医学で髪は【血余】といいます
血(けつ)は東洋医学では人の体の生命活動に必要な栄養の事を意味しています。
私たちの体は、まずは私たちの《命》を守ることを優先します。命を守るために、大切な体の器官や内臓に十分な栄養を送り込み、命の維持ができた上で、余った血が髪となるということで【血余】と呼ばれています。
髪【血余】はその人の栄養状態を表してくれている指標のようなものでもあり、髪の質、量、ツヤに大きく影響しています。十分な栄養を腸で吸収し、十分な血液(栄養)がスムーズな血流によって頭皮の毛球に運びこまれることができれば、健康な髪は作られるのです。
健康な血液を作るための腸の役割とは
髪は、腸で吸収された栄養による血液から作られます。栄養価の高い食品を摂って、その食品から栄養を腸が吸収されやすい状態にある事が大切です。
また、腸は【第二の脳】と呼ばれ、脳からの指令がなくても消化・吸収・排泄の機能を自立して稼働させています。
そして腸の神経細胞は脳に次いで多く、脳には神経細胞が1000億個あり、腸は脊髄と同じくらいの数で数億個あると言われ、交感神経や副交感神経を介して脳とつながっています。
腸の仕組みとは
腸は小腸と大腸からなっており、小腸は十二指腸と空腸と回腸、大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸とでなりたっています。
小腸は全長6~7mで直径4㎝で、広げるとテニスコート1面分の広さがあります。大腸の全長は約1.5m~2m、直径5~7㎝ほどです。
小腸と大腸はそれぞれの役割があり、小腸は消化吸収し、大腸は消化吸収されたあとの内容物を便に変えて排出します。
また、腸内に住む細菌は約100兆個いるといわれており、その種類は1000種類で、それぞれの細菌は自分が住みやすい場所に住み着いています。小腸の十二指腸には少なく、空腸回腸になると格段にその数は増え、大腸になると細菌がより集中していて、その状態がお花畑のように見える事から【腸内フローラ】といわれています。
小腸の仕組みとはたらき
小腸の働きは消化吸収で、胃で消化されたものをさらに消化させて栄養を吸収します。また小腸は吸収率を高めるために、ヒダヒダの形状で絨毛という突起が無数にあります。
胃で消化されたものは少しずつ十二指腸に送り込まれます。この時、十二指腸には胆管と膵管から胆汁と膵液が流れ込み、消化をアシストして、栄養がより吸収されやすい状態になります。
そして小腸では消化酵素が分泌されほぼ消化され、アミノ酸とアミノ酸が連なったペプチド、ブドウ糖は毛細血管から吸収され、脂肪酸、モノグリセリドはリンパ管から吸収されます。
大腸の仕組みとはたらき
消化吸収されたあとの液状の内容物から、水分やナトリウムなどのミネラルを吸収して便を作る働きを担っています。
また、大腸には細菌が集中して住み着いていて、この細菌は、善玉菌、日和見菌、悪玉菌に分かれ、2:7:1の割合が理想とされています。
善玉菌は酸性を好み、悪玉菌はアルカリ性を好みます。日和見菌は、この善玉菌が増えれば善玉菌につき、悪玉菌が増えれば悪玉菌につきます。
食物繊維は胃や小腸で消化されないので大腸まで届きます。ここで善玉菌はこの食物繊維をエサとして増殖します。
健康な髪のために必要な腸の状態とは
このように、腸である小腸と大腸にはそれぞれの役割があり、髪と密接な関係にあります。その腸が、きちんとはたらける環境は、私たち自身で作る事ができます。
まず小腸は、食事制限や絶食をして、必要な栄養分が送られない状態が続くと、絨毛が減ってしまいます。ですので、身長や体重、年齢に応じて適切な量とバランスの良い食事内容にすることで、小腸の絨毛が『働ける環境』を作ってあげて、小腸の絨毛が育ちやすい環境を整えてあげることも大切です。
そして大腸は、悪玉菌より善玉菌が多くなれる、乳酸菌や発酵食品、食物繊維を積極的に摂る事によって、腸内フローラが広がり、便通状態が良い綺麗な大腸の状態を作ってあげる事が大切です。
健康な髪に必要な栄養とは
タンパク質
髪はタンパク質によって作られています。タンパク質が分解されアミノ酸になり、再合成されて髪になります。そしてこの髪の毛は80%~90%がケラチンというたんぱく質でできています。
魚の中では サケ、マグロ、青魚 に含まれるDHAやEPAというオメガ3脂肪酸がおススメです。お肉だと、鶏ささみ、鶏むね、豚ひれがおすすめで、魚は脂肪が多く肉は脂肪が少ないものを摂る事をおすすめします。
しかし、タンパク質だけを摂っても、健康な髪は作られません。髪の元となるケラチンが再合成される前のアミノ酸は、アミノ酸単ではケラチンを作る事ができず、亜鉛のサポートを必要とします。亜鉛不足では髪を作る事はできません。
また、タンパク質の一種であるコラーゲンも欠かせません。コラーゲンは加齢に伴い減少し、それに伴い髪を包む毛包も萎縮していきます。コラーゲンはビタミンCのサポートを必要とします。
コラーゲンには動物性食品と植物性食品があり、動物性食品では鶏手羽、豚足、牛すじです。
ビタミン
ビタミンはビタミンB2、ビタミンB6が代謝を促し、ビタミンCは抗酸化作用によって良い頭皮環境を保ち、ビタミンEは血流の流れを促進してくれます。
ミネラル
ミネラルはたんぱく質やビタミンよりも見落とされがちですが、ミネラルである亜鉛や鉄、ヨウ素も髪の発育にとても重要です。
亜鉛はサポート役としてとても重要です。髪を構成しているケラチンは、たんぱく質がアミノ酸になり、それをケラチンにさせる時に亜鉛のサポートを必要とします。細胞のターンオーバーを促進する作用を持ち、レバーや牡蠣などに含まれます。
鉄は ヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄は動物性食品に多く含まれ、煮干し、豚レバー、しじみなどに含まれます。
非ヘム鉄は、植物性食品に多く含まれ、小松菜、枝豆、サラダ菜などに含まれます。しかしこの非ヘム鉄は吸収率が低いので、ビタミンCと一緒に摂る事によって吸収率が高まります。
ヨウ素はわかめやひじきなどの海藻類に多く含まれ、甲状腺の機能を促進させます。甲状腺はたんぱく質体のほぼすべての組織を刺激してタンパク質を産生させ、健康な髪を作り出します。
髪と血流の関係とは
血液を全身に巡らせるためのこの血管には「動脈」「静脈」「毛細血管」の3つがあります。この3つ目の毛細血管は、全身の血管の95%を占めています。その毛細血管の太さは、髪の毛の約10分の1で、こちらの画像のように1ミリの間に8~12本の毛細血管があるのが理想とされています。
また、この毛細血管の長さは、約10万キロあり、全長は地球を2周半回るとも言われています。そしてこの毛細血管は、10万個あるといわれる毛穴に生える髪が育つために、必要な血液(栄養)を運ぶ役目があります。
血液が全身の血管を一周するのにかかる時間は30秒です。たった30秒で地球2周半もの距離をかけめぐり、私たちの体の隅々に栄養を届けてくれています。
健康な髪を育てるための理想の血管とは
血管は、ゴムホースのように弾力としなかさを持って全身をめぐっています。その血管は、過食や摂食、食生活の偏り、精神的ストレス、老化現象などによって弾力としなやかさを失い、硬くもろく切れやすい状態になったり、こぶがたくさんでき詰まりやすい状態になったりします。
これを動脈硬化と言います。
動脈硬化は血液(栄養)がスムーズに流れなくなっている状態で、血余である髪には一より層栄養が届きにくくなっている状態になっています。
健康な髪のための血液をサラサラにする成分
血液は、2つの成分でできています。
1、血球(赤血球/酸素の運搬、白血球/異物の処理免疫機能、血小板/止血作用)が45%、
2、血漿(物質の運搬水分90%・血液凝固因子、グロブリン、アルブミなどのたんぱく質9%ブドウ糖、ナトリウムイオン、その他の無機物ホルモン)が55%でできています。
髪が作られる毛根にある毛母細胞に、栄養である血液がしっかりと行き届くためには血液がサラサラでなければなりません。
反対に血液がドロドロの状態とは3つあります。
1.水分が足りない脱水状態
2.悪玉コレステロールが多い状態
3.高血糖状態が血液がドロドロの状態
この状態にならないために、血液がサラサラになる12個の食品の成分をご紹介します。栄養価の高い食事を摂って健康な髪を作っていきましょう。
1、EPA・DHA
【サバ缶、青魚(イワシ、サバ、サンマなど)】
血液中の中性脂肪を減らしたり、血栓を作りにくくしたりする作用があります。
2、リコピン
【トマト、トマトジュース、柿、スイカなど】
強い抗酸化作用があります(野菜や果物のビタミンCやビタミンEと同様血液の効果)油と一緒に摂る事で吸収率が高まります。
3、硫化アリル
【新タマネギ、タマネギ、ニンニク、ネギなど】
血栓を溶かし、血管の老化を防ぎ、動脈硬化を予防してくれる効果があります。
4、ナットウキナーゼ
【納豆】
納豆のネバネバのの元である酵素。血栓そのものを溶かす効果があります。
5、βグルカン
【キノコ類(しいたけ、まいたけなど)大麦、オーツ麦】
コレステロール値や血糖値を下げ、免疫力を高める効果がある。
6、アリシン
【ねぎ類(ネギ、ニンニク、タマネギなど)】
体を温め、疲れのもとになる乳酸を分解してくれる。
7、ビタミンE
【たまご、アスパラガス、かぼちゃ、乾燥アーモンド、乾燥落花生、ひまわり油、オリーブオイルなど】
血管の収縮を促す神経伝達物質の生成を抑えて毛細血管を広げる働きがあるり、血流を改善する効果が期待できます。過酸化脂質を分解して血液中に粘度のある物質が流れ出すのを防ぎます。また、 動脈硬化の原因ともいわれる活性酸素を除去する働きがあります
8、クエン酸
【お酢、梅干し、もろみ酢、レモンなど】
動脈硬化を予防する働きや、ミネラルの吸収を促進させる効果があります。
9、ポリフェノール類
【緑茶、ウーロン茶、麦茶など】
抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があり動脈硬化を防ぎます。
10、ビタミンC
【フルーツ類、ピーマン、ブロッコリー、ケールなど】
ビタミン類の中でも高い抗酸化作用を持ち、動脈硬化予防の効果もある。EとCを一緒に摂ると吸収率が高まります。
11、βカロテン
【ニンジン、ほうれん草、かぼちゃなど】
動脈硬化の原因とも言われる活性酸素を除去する強力な抗酸化力を持ち、免疫力を高めます。
12、アルギン酸
【昆布、わかめ、ひじき、もずくなど】
コレステロールの吸収を妨ぎ体外へ排出させる働きを持つ食物繊維です。海藻類は、血糖値の上昇を抑え、新陳代謝を活発にして血流を促す働きがあります。
健康な髪のために必要なNO(一酸化窒素)とは
健康でボリュームのある髪を作るための、しなやかで柔らかい血管づくりのために、あまり知られてないものがNO(一酸化窒素)です。
NO(一酸化窒素)は、血管を作っている外膜、中膜、内膜の3層からなる血管壁の一番内側を覆う内皮細胞から放出されています。NO(一酸化窒素)は血管に働きかける物質で、NO(一酸化窒素)が放出されることによって、血管壁を収縮させたり緩めたりさせます。
このNO(一酸化窒素)が不足してしまうと、血管が硬くなってしまい、NO(一酸化窒素)が十分に足りているとしなやかで柔らかい血管になります。